おりえのあとりえ

宗谷織衛のあれやこれや

【TRPG:Pathfinder】秘術師系統クラス概説

 

 ルーンマスターやりたいけど各クラスごとの差別化がいまいちできない、何が違うのか分からない、そんなあなたへ。

 

●秘術師クラスの基本的なこと

 大体技能ランクが2+【知】と極めて少ないが、〈呪文学〉など高いDCを求められ、かつ他のクラスではあまりクラス技能にならない技能に適性を持つ。

 ヒット・ダイスはd6ほど。防具適性はないか軽鎧まで。

 秘術呪文の構成要素は動作+音声+触媒であることがほとんどで、身動きを阻害される状況・装備では唱えられないか、失敗確率がついてくる。追加ルールありなら失敗時にパルプンテ

 

【ウィザード】

 魔術を体系だった学問として取り扱う、典型的な魔術師。

 全ての呪文を習得している代わりに、呪文書に記載された呪文を毎朝スロットに一つずつ当てはめる準備が必要。

 呪文書の内容はレベルアップごとに二つ増え、かつ冒険の結果次第でも増えていくので、呪文のレパートリーは豊富。その分呪文の使用回数は控えめ。またボーナス特技が得られるので呪文修正特技やアイテム作成特技を取る余裕もある。

 使用する能力は【知力】。そのため他の秘術師と比べて技能の数に余裕があり、道具作成なども手がけられる。

 使い魔や絆の品や呪文系統専門化など、キャラ作成段階の選択肢が豊富で様々なことが出来る。一方広い選択肢故に呪文やアイテム、システム、特技など様々な分野に精通する必要があり、かつ少ない呪文発動回数を効率よく運用しなくてはならないこと、そのために朝の呪文準備段階でその日必要になる呪文を正確に読む必要があることなどから、かなり熟練者向けのクラス。

 

・詳細

 「秘術の絆」能力により、使い魔か絆の品を得る。使い魔の場合はステータスへのボーナスと、使い魔を介した情報収集や呪文の遠隔発動が可能になる。絆の品の場合、高品質なアイテムを一つ獲得し、これを用いて呪文書に記載してあり、かつ準備していない呪文を一つ唱えることが出来る。

 使い魔はそれぞれ暗視や水中行動など種族特有の能力を有し、加えてカラスなどは会話能力すら得る。戦闘させるのは厳しいが、レベル上昇に従って意思疎通や呪文の遠隔発動が可能で、距離:接触の呪文を扱いやすくなる。

 絆の品は概ね二種類ある。一つ目は武器や装飾品である。これらは常に高品質で、更に《魔法の武器防具作成》など絆の品と同種のマジックアイテム作成特技を習得すると、この絆の品にも魔法の効果を与えることができるようになる。二つ目は魔法の収められたスタッフやワンドである。ワンドは50チャージを持つが使い切りかつ単一の呪文しか収められない。が、絆の品のワンドはアイテム作成特技によって作り直すことが出来る。スタッフは10チャージだけだが、毎朝レベル最大の呪文スロットを一つ消費することでチャージし直せ、また呪文が複数種類込められている。何れにせよウィザードの呪文使用回数の不足を補う事ができる。

 更に、いくつかある呪文系統を一つ専門化する事ができる。専門化する事で僅かな特殊能力と、専門系統用の呪文スロットを得られる。だが専門化すると対立系統を二つ選択しなくてはならず、その系統の呪文発動コストが上昇するため吟味が必要。

 呪文修正特技は準備時に適用する。そのため、発動時になって追加効果を変える事はできない。

 初期から《巻物作成》を持ち、ボーナス特技でアイテム作成特技を得られるので、マジックアイテムのクラフトも得意。全ての呪文を習得しているという特徴はアイテム作成時に生きてくる。

 

ソーサラー

 先天性の秘術師。血に宿る力を才覚で扱う。

 呪文の修得可能数がかなり少なく、能力値ボーナスによる追加修得すらない。そのため習得する呪文を吟味する必要がある。

 代わりに呪文スロット量に極めて優れており、呪文をバカスカ撃ちまくれる。0レベル呪文に至っては無制限に使用可能。

 呪文を【魅力】で唱えるため、技能なしでも多少は交渉事を担当出来たりする。

 何と言っても特徴は「血脈」。天使、精霊、悪魔、異形のもの、はたまた大いなる運命……超越的存在たちに影響を受けたか実際に交わったかをして、その血脈に宿した秘術の力。自身が何の血を引くのかによってボーナス呪文と特殊な能力を得られる。

 

・詳細

 ウィザードほど語ることは多くない。少ない呪文修得数を呪文スロットの数で補う。そのため汎用性が高く強力な呪文をガンガン連発することになり、結果的に攻撃呪文など繰り返し使えることに意味がある呪文を選ぶことになりがち。

 血脈も、種類自体は多いが一つの種類の中の選択肢は多くなく、同じ血脈のソーサラーならば似通った能力を持つことが多い。

 裏を返せば一度選んでしまえば運用に悩むことが少ないということでもあり、秘術師の中では初心者向け。

 呪文修正特技も発動時に選択するため扱いやすい。

 使用能力が【魅力】であること、ボーナス特技が7,13,19レベルにしかなく、血脈の提示する選択肢しか選べないことなどから、アイテム作成は苦手。また探索面でもウィザードにやや劣る。

 

【アーケイニスト】

 ウィザードとソーサラーの複合クラス。学んだ魔法を才能に寄って改変して操る、才覚ある魔術師たち。用いる能力値は【知力】。

 呪文修得数はウィザード同様呪文書を用いる。当然冒険の最中で増やすことも出来る。一方で呪文の発動の仕方はソーサラーと同様、スロットを消費する方式。準備可能数まで好きな種類の呪文を呪文書から準備し、それをスロットを消費して唱える。毎朝の準備でスロットごとに呪文を割り当てる必要はなく、また同じ呪文を複数回唱える事も出来る。能力値ボーナスで増えないのも同様。分かる人はD&D5以降のウィザードと同様と覚えてほしい。

 呪文スロット数はウィザードとソーサラーの中間といったところ。ウィザードほど少なくはない(概ね+1程度)。0レベル呪文を無制限に唱えられるところも同様である。

 しかし呪文スロットを消費することで「秘術蓄積」を得て、これを用いて呪文を強化したり、「アーケイニストの秘技」に費やすことで呪文に類する特殊な能力を発動できるため手数も豊富。多彩さと堅実さを兼ね備えたクラス。秘術師初心者向け。

 

・詳細

 兎にも角にも「アーケイニストの秘技」が特徴のクラス。秘技には様々な種類があり、攻撃呪文に似た能力から防御やバフの他にも、短距離転移のように便利なものから、ボーナス特技の獲得など秘術蓄積を用いないパッシブ効果のものもある。ソーサラーの血脈やウィザードの使い魔を得ることも出来る。

 特に「素早い修得」の秘技があれば準備している呪文をいつでも変更できるため、他の秘術師とくらべてずば抜けた対応力を誇る。

 呪文修正特技の準備もウィザードとソーサラーの方式を両方共選べる。ソーサラー方式の方が便利なのだが、秘技の「呪文修正合成」により「予めウィザード方式で修正した呪文を、発動の際にソーサラー方式で更に修正する」といった芸当が可能になったりもする。

  秘技の選択でキャラ性が変化する他、呪文も扱いやすく、【知力】型なので探索も得意と、秘術師としては癖もなく欠点もなくと扱いやすい。超がつく初心者向けクラス。

 尖った強みなどなくとも秘術呪文自体が尖っていて強力なので、それを癖なく扱えるというのは立派な強みだ。

 

ウィッチ】

 何かの上位存在に対する霊的な交信により呪文を得る呪術師。

 魔法の発動形態はアーケイニスト型。ただし呪文書の代わりに使い魔に呪文を蓄える。呪文書と同様レベルアップごとに二つの呪文を追加で修得し、また他のウィッチの使い魔や、そうでなければ巻物からも呪文を修得することが出来る。

 呪文の発動回数は概ねウィザードと同様。能力も【知力】型。

 特徴は「呪術」であり、補助、妨害、そしてユーティリティに偏った能力を2レベルごとに得ていく。ダイスの振り直しだのステータス低下だのAC強化だのの分かりやすいバフデバフから、変装、言語理解、回復なども扱える。

 呪文の内容もウィザードとは違うリストを用いる。中にはクレリックの回復呪文やウィッチ専用呪文などもある。何れにせよ攻撃は苦手であるということだけは確かだ。例外的に、元素の守護者を選ぶと攻撃呪文を覚えられるようになる。

 

・詳細

 己の交信する霊的な守護者を選択し、そこからボーナス呪文を得られる。選択するのは守護者が扱う能力の傾向であり、それが具体的になんであるかはPLとGMで決められる。血脈などと違い追加能力を得られるわけではない。

 一応、インフリクト系とキュア系を呪文を両立出来る数少ないクラスでもある。使い道はあまりないが。

 イル・オーメンのような悪辣な妨害呪文と状態異常呪文を数多く持つが範囲効果に乏しくクラウド・コントロールを苦手としており、少数の危険な敵を呪文で無力化して後はバフをかけた前衛に任せるというような戦い方になる。派手ではないが堅実。

 

【サモナー

 別次元界から己だけの「幻獣」を招聘し、その繋がりの内に秘術を見出し、操る。

 ここではアンチェインド版のみを扱う。――初期サモナーは有り体に言ってバランスブレイカーである。PUサモナーも大概だが。

 呪文発動タイプはソーサラー型。限られた修得枠から準備の必要なく呪文を操る。0レベル呪文こそ無制限だが、発動回数は極めて限られており、ウィザード以下である。またウィザードの習得できる最大呪文レベルが9であるのに対しサモナーは6である。

 秘術師としては劣ると言っても呪文のラインナップは凶悪なものが揃っており、他のクラスと比べても遜色ない。またヒット・ダイスがd8であることも特徴の一つ。

 使用する能力値は【魅力】。

 何より使役する幻獣が攻防共に強力で、属性も姿形も攻撃手段も融通が効く。幻獣のみを対象とする幾つかの呪文も覚える。

 

・詳細

 幻獣の高い攻撃力を呪文によってバックアップして戦うことになる。スロット数的にも攻撃呪文による戦闘は苦手だが、幻獣は前衛と近しい火力を有しており、総合火力は高い。

 何より幻獣は「副種別」により様々な能力を獲得する。憎きエレメンタル共の状態異常耐性だの、エンジェルの広範な属性耐性だのを得られてしまうため、防御能力も地味に高い。幻獣のデザインは自由で、人型も選べ、また武器や防具やその他装備を扱わせることも出来るし、四足獣型で強力な爪や牙による連続攻撃をさせてもいい。

 ファイターの火力を維持しながらウィザードの補助・妨害呪文を唱えるため、ぶっちゃけ調整された現在でも凶悪。一方でディスミサルのような召喚生物の強制送還呪文が致命的という弱点もある。

 

【メイガス】

 呪文と武器の扱い双方に長けた魔法戦士

 呪文発動タイプはウィザード型で、呪文の準備数もウィザードと同様。呪文書に記した呪文をスロットに当てはめて準備する。

 呪文のスロット数はサモナー程度だ。扱える呪文が6レベルまでなのも同様である。呪文に用いるのは【知力】だが、前衛をこなす都合【筋力】【敏捷力】【耐久力】も重要。

 魔法戦士として、軍用武器及び軽装鎧への習熟と、軽装鎧に限った秘術失敗確率の無視である。d8のヒット・ダイスも合わせて、ローグ程度には防御力がある。

 特徴は何と言っても「呪文戦闘」と「呪文撃」。二刀流扱いとして片手武器による攻撃と呪文発動を両立出来る他、接触呪文の発動の際の近接接触攻撃を武器攻撃判定で置き換え、呪文効果に武器攻撃ダメージを合わせて与えることが出来る。

 また、アーケイニストのそれに似た「秘術集積」や「メイガスの秘奥」の能力も持つ。

 

・詳細

 「呪文戦闘」「呪文撃」の複合により、一ラウンドに二回武器攻撃を繰り出せる。ペナルティ軽減に《二刀流》特技が不要な一方で、それを取らないがゆえに二刀流の派生特技も取れない。

 秘術集積の量はアーケイニストに劣るが、「呪文喚起」により集積を消費して使用した呪文をスロットごと再準備状態にすることが出来る。そのため呪文の使用回数はむしろウィザードを超えうる。

 前に出づらいウィザードではうまく使えない強力な接触攻撃呪文を扱いこなす。フロストバイトだのフリジッド・タッチだのヴァンピリック・タッチだのである。フリジッド・タッチは2lv時点で[冷気]4d6ダメージといかれたダメージ量を誇り、ヴァンピリック・タッチは言わずもがな与えたダメージと同量の一時的HPを獲得する。

 他にも攻撃後ヴァニッシュだの、バフ掛け即武器攻撃だの、厄介で楽しい悪さが色々出来る。

 一方接触攻撃主体の関係上秘術師としては射程が短く、片手武器しか使えない+接触呪文を唱えないと二回攻撃出来ないため前衛としては通常攻撃の威力にいまいち欠ける。呪文と呪文撃の使い所、立ち位置、装備と特技の取捨選択を問われる上級者向け。